遺言書を作成しない場合に起きる悲劇とは。後でもめないために遺言書はしっかり作りましょう。

相続

豊橋の税理士 提中です。

遺言書・・・。
この言葉から皆さんはどのようなイメージを連想されますか。

・まだまだ自分は元気!亡くなるのは先なのに縁起が悪い。

・相続人同士の関係は良好なので必要ない。

・大した財産もないので自分には関係ない。

そんな考えをお持ちの方が大多数であると思います。
でもちょっと待って下さい。
遺言書を残さない場合のデメリットを考えたことはありますか。

今回は、遺言書を作らない状態で相続を迎えた場合のデメリットについて記事にまとめています。
遺言書を作るべきかどうか悩んでいる方は是非読んで下さい。

遺言書を作らない場合に生じるデメリット

遺言書を作らない状態で相続が発生した場合の主なデメリットとしては次のものがあります。

① 法定相続人以外に自分の財産を相続させることができなくなる
② 財産を渡したくない法定相続人にも自分の財産を相続させる必要が出てくる
③ 相続人同士で遺産分割協議を行う負担が発生する

それぞれ詳細を見ていきます。

①法定相続人以外に自分の財産を相続させることができなくなる

遺言書がない場合、法定相続人以外の方に自身の財産を相続させることは不可能となります。
遺言書がない状態で相続が発生した場合、相続人の財産は、民法に定められた相続人や相続分の規定
により承継されます。これを法定相続と言います。

例えば、法定相続人である子供がいる状態で孫に財産を一部相続させたいと思ったとします。
しかし、孫は法定相続人には該当しませんので孫に財産を相続させることはできません。
全ての法定相続人が、孫に財産を相続させることに同意していたとしても孫に相続をさせることは
できません。

そのため、法定相続人以外の方に自分の財産を相続させたい場合は、遺言書の作成は必須となります。

② 財産を渡したくない法定相続人にも自分の財産を相続させる必要が出てくる

①が真なる逆もまた然りです。

例えば、子供が2人いたとします。
うち一人は放蕩息子であり、相続した財産をろくなことに使わないことが目に見えている。
このようなケースでは、その放蕩息子には財産を渡したくないと考えるのが一般的な心情です。

しかし、遺言書がない場合、その放蕩息子は法定相続人の一人となりますので、当然に財産を
相続する権利を主張します。

遺言書さえあれば、遺留分を侵害しない範囲で相続する財産を指定することができたのに・・・。
後悔先に立たずとは正にこの事と言わんばかりの結果となります。

③ 相続人同士で遺産分割協議を行う負担が発生する

・長年住んできた家は奥さんに相続させたい。
・事業用不動産、株式は後継者である長男に相続させたい。
・現金は嫁いだ先で頑張っている長女に相続させたい。

生前に遺言書を書けばこれらの希望はすべて叶います。
自分の財産を、自分の希望する相続人に、自分の希望する分だけ相続させることができます。

しかし、遺言書がなければ、残された相続人同士で話し合いの場を持ち、誰がどの財産を相続するかを決めていかねばなりません。
これは、相続人ごとに相続できる割合は法律で決まっているものの、具体的にどの財産を誰が引き継ぐかまでは決まっていないためです。

お互いのことを慮り合える相続人だけであれば問題は起きません。
でも一人でも自身の権利ばかりを主張する相続人がいれば協議が難航することは明らかです。
詳細は今後、記事にまとめたいと考えておりますが、遺産分割がまとまらないことで
適用を受けることができない相続税の優遇措置もあります。

そんな中、あなたが生前に残した意思(=遺言書)さえあれば、相続人同士の争い勃発を抑止する
力になること間違いなしです。

相続人同士が相続発生後も、これまで通りに良好な関係を維持できること。
これが遺言書の最大のメリットではないかと私は常々考えています。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
遺言書を作ることの大切さを感じていただけたなら記事に書いた甲斐があったことになります。
筆が進まない気持ちはよくわかります。でも、自分の気持ちを遺言書という形あるものに残すこと。
それが残された方に対して生前にできる優しさなのではないかと考えます。

次回は遺言書の具体的な作成方法について解説していきたいと思います。
ご興味ある方は是非とも次回もご一読いただければ幸いです。