預金、株式、不動産を中心とした遺産分割後の名義変更等の手続きについて解説します。

相続

豊橋の税理士 提中(だいなか)です。

昨日の記事では遺産分割の手順について見ていきました。
遺産分割協議の手続きを詳しく解説。税理士に分割協議のサポートを依頼すべきか。

遺産分割が確定すると、いよいよ決定した内容に基づき遺産を各相続人に分配することになります。
本日はその手続きについて見ていきたいと思います。

預貯金の払戻し、株式の名義変更をする場合の手続き

遺産分割後の預貯金・株式の相続手続きについて

まずは、手続きを進めるための必要書類を金融機関のHP、電話、窓口で確認します。

一般的には被相続人の戸籍謄本、相続人の戸籍謄本、印鑑証明書、遺産分割協議書が必要書類と
されていますが、各金融機関に事前確認をしておくことで手続きがスムーズに進みます。

金融機関によっては、遺産分割協議書ではなく、独自の様式のものを提出することが求められること
があるようです。

遺産分割協議書の作成時に、事前に金融機関の独自様式の書類も用意し、各相続人の署名と実印の
押印をしておくと、二度手間を省けます。

提出された戸籍謄本や印鑑証明書の原本の返却がされるか、される場合は返却時期がいつであるかを
確認しておくと、事前に必要枚数の把握ができます。

遺産分割前の預貯金の払戻しについて

口座名義人が亡くなると、遺産分割が完了するまで相続人単独での預貯金の払戻しは原則できません。

しかし、各相続人が葬儀費用等の支払いのためにお金が必要となった場合に払戻しを受けられるよう、
遺産分割前の預金払戻し制度が2019年7月1日より開始しています。

https://www.zenginkyo.or.jp/fileadmin/res/article/F/7705_heritage_leaf.pdf

単独で払戻しできる額

口座ごとに次の計算式で求めた額(同一金融機関の払戻しの上限は150万円)が払戻可能額となります。

相続開始時の預金額×1/3×単独で払戻しを受ける相続人の法定相続分

(計算例)
預金額600万円、相続人は子2人の場合
600万円×1/3×1/2=100万円<150 ∴100万円が単独で払戻し可能

必要書類

家庭裁判所に調停・審判の申し立てがされていなければ、一般的には下記が必要書類となります。
遺産分割後の手続きと同様、金融機関ごとに若干の違いはあるかもしれません。

・被相続人の除籍謄本、戸籍謄本又は全部事項証明書(出生から死亡まで連続したもの)
・相続人全員の戸籍謄本又は全部事項証明書
・払戻しを希望される方の印鑑証明書

不動産の名義変更の手続き。相続登記しない場合の弊害。

不動産を相続した場合は、相続登記が必要となります。

相続登記をしないと不動産は被相続人名義のままとなり、相続人全員の共有物とみなされます。
そうなると単独で売却を行うことはできません。

長期間登記を行わない中で2次相続が発生すると、相続人がさらに増え相続関係がさらに複雑になります。

長期間登記がされない不動産が増えていることを受け、令和6年4月1日以降に発生した相続
については、取得を知った日から3年内に相続登記が義務付けられるようになります。

義務を満たせなかった場合には10万円以下の過料がかかるようになりますので注意下さい。

以上、色々書きましたが不動産の名義変更は司法書士等の専門化に依頼した方が確実です。

まとめ

本日は預貯金の払戻し、株式の名義変更、不動産の名義変更について解説しました。
その他、相続発生後に必要となる手続き、期限、手続先をリストにまとめております。

相続発生時の参考になさって下さい。