遺産分割協議の手続きを詳しく解説。税理士に分割協議のサポートを依頼すべきか。

相続

豊橋の税理士 提中(だいなか)です。

ブログを更新する際、冒頭部に「豊橋」、「提中(だいなか)」という二つのワードを
盛り込むことを意識しています。

その理由はもちろん、「豊橋+税理士」でキーワード検索した際に、私のサイトが上位に表示される
ようになって欲しいからです。

そしてその結果として、多くの方から問い合わせをいただき、価値を感じて下さった方が
顧問契約をして下さる。そんな青写真を描いています。

しかし、その願望は実らず、私のサイトは他者様のサイトに埋もれたまま今日に至ります。

東海税理士会豊橋支部で税理士検索すると、HPを持っている税理士には「公式HP」の
マークがつきます。

私の感覚では、自社HPを持つ税理士事務所は全体の10%にも満たないと思われます。
そんな中でも、私自身は比較的まめにサイト更新をしている方だと思います。

それなのになぜ・・・。

いつか上位表示されることを願いながら、「豊橋+税理士」で毎日キーワード検索している今日この頃です。

※愚痴っぽく書いてしまいましたが、
私のブログがお読みいただいた皆さんのお役に立てていればそれで良しというのが本心です。

さて、最近の投稿はインボイス制度や法人設立を中心としたものが多かったので、本日は
相続発生時に必要となる遺産分割について記事にまとめます。

税理士検索|東海税理士会豊橋支部ホームページ

遺産分割とは。その意義と種類

遺産分割の意義

相続が開始すると、被相続人(亡くなられた方)の権利・義務は相続人に移転します。
そして相続人が複数いる場合には、相続発生時点では遺産は共有状態となっています。

この共有状態となっている遺産を各相続人の単独所有に変更するための手続きが遺産分割です。

遺産分割がされると、相続開始時点まで遡ってその効力が生じ、相続開始時に被相続人の
権利義務が各相続人に直接承継されることになります。

不動産賃貸を営む場合、遺産分割が完了するまでに生じた賃料収入は各相続人の相続分に応じて
各人に帰属するとされている点には注意を要します。

遺産分割が完了すると、不動産そのものは遺産分割により相続することが決まった方の単独所有
となりますが、その不動産から生じる賃料収入の果実まではその方単独のものとはならないということです。

遺産分割手続きの4類型

遺産分割の手続きには4つの類型があります。

③の調停分割までいくと、最終的に遺産分割が完了しても、相続人間の関係性は
間違いなく悪くなることでしょう。

どこかのタイミングで誰かが譲歩し、少なくとも③(できれば②)で分割完了を目指すべきでしょう。

①指定分割

遺言により、被相続人が遺産分割を指定する方法

②協議分割

遺言がない場合に、相続人同士で協議して分割する方法

③調停分割

協議分割が調わない場合に、家庭裁判所が間に入って分割する方法

遺産分割調停手続のご利用にあたって | 裁判所
裁判所のホームページです。裁判例情報、司法統計、裁判手続などに関する情報を掲載しています。

④審判分割

調停が不成立となった場合に、相続人の主張や提出資料に基づき裁判官が分割する方法

遺産分割の対象財産

相続開始時に被相続人の財産に属した一切の権利・義務が対象となります。

死亡退職金・死亡保険金・遺族年金等の被相続人の死亡によって生じる権利は受取人固有の
財産となるため遺産分割の対象とはなりません。

遺産分割の一般的な手順

①遺言の有無の確認

遺言がある場合には、協議分割よりも指定分割が優先されます。
そのためまずは遺言の有無を確認することが重要です。

遺言があっても、相続人全員の同意(第三者への遺贈がある場合には第三者の同意も必要)
が得られれば、指定分割ではなく協議分割することができます。

②遺産分割協議の参加者の確認

基本的には法定相続人が遺産分割協議の参加者となります。

法定相続人が未成年である場合には親権者が代理人として遺産分割協議に参加します。
ただし、親権者も法定相続人である場合には、家庭裁判所に申し出て代理人を選任します。

親権者がいない場合には後見人が代理人となり参加します。

③財産・債務リストの作成

どのような財産と債務がどれだけあるかを把握しリストを作成します。

④遺産分割協議

洗い出した財産・債務を誰がどれだけ引き継ぐかを参加者で協議します。

⑤分割案の作成とその分割案に基づく相続税の試算

相続財産と債務を各相続人ごとに割り当てた表を作成します。

そしてその前提で相続税の試算を行います。

相続財産/債務金額配偶者子①子②
現金500万円500万円
株式200万円100万円100万円
50万円50万円
借入金30万円10万円10万円10万円

⑥相続税額を加味した遺産分割協議

⑤の試算結果を踏まえ、必要に応じて再度分割協議を実施します。

⑦遺産分割協議書の作成

協議結果を遺産分割協議書に落とし込みます。

⑧相続税申告書の作成

相続税申告書を作成します。

税理士に遺産分割協議のサポートを依頼すべきか

専門家に遺産分割のサポートをお願いする場合、誰に依頼するのが適切であるかという論点は
良く耳にします。

依頼先としては弁護士、司法書士、行政書士、そして税理士当たりが思い浮かびますが、誰に依頼するのが適切なのでしょうか。

私自身が税理士ですので、税理士に依頼すべきかまずは所見を述べたいと思います。

税理士は相続税の申告に最も深く関わる士業です。

遺産分割のやり方次第で相続税の負担は大きく変わってきます。
その意味からも、税理士は遺産分割において重要な役割を果たします。

しかし、遺産分割の交渉や折衝を行うことは非弁行為に該当するため、積極的に関与することは避けるべきとされています。

私見では、相続人間でもめ事がなく、相続税の申告上、遺産分割協議書の添付が必要な場合に限り
税理士は遺産分割協議書を作成すべきであると思います。

また、これも完全な私見ですが、なんちゃって遺産分割協議書は作成できても、やはり他のプロが
作成する遺産分割協議書には劣るような気がします。

なので、税理士については、相続税にどのような影響が出てくるのかをアドバイスしてもらうような
立場で分割協議に関わってもらうのが良いと思います。

私の中では司法書士が分割協議という分野において、最も適切な士業であると考えていました。
しかし、このブログを執筆するために書籍を読み込んだところでは、司法書士は、不動産の相続
登記が伴う場合のみ分割協議書を作成することができるとされていることを知りました。

つまり、遺産分割協議のサポートのみを本業として行えるのは弁護士と行政書士となるようです。
弁護士費用は高いので行政書士。そんな結論となりそうです。