豊橋の税理士 提中です。
本日は小規模企業共済制度について詳説致します。
ホームページや税理士執筆の書籍を読むと、必ずと言っていいほど有効な節税策として
紹介されるのがこの小規模企業共済制度となります。
実際のところ節税効果はかなり大きいです。
ただ、20年未満に解約すると元本割れが起きる等のデメリットがあるのも事実。
今回の記事が加入を検討されている方の参考になればと思います。
小規模企業共済制度とは
加入できる方
従業員が20人以下(商業・サービス業は5人以下)の個人事業主及び会社役員
小規模企業共済制度の特徴
小規模企業共済制度の主な特徴を上げると次の通りとなります。
(水色にハイライトした項目はメリット、ピンク色にハイライトした項目はデメリット)
①小規模企業の経営者や役員、個人事業主などのための退職金制度であり、国の機関である中小機構が運営している。
②掛金は全額所得控除できるため節税効果が高い。
③共済金は受取方法により、退職所得、公的年金の雑所得、一時所得に該当し、所得税の課税が抑えられる。
④iDeCo(個人型確定拠出年金)との併用が可能
④加入者は低金利の貸付制度を利用できる。
(一般貸付の掛金累計の7~9割を年利1.5%で借入。借入期間は借入額により変動。最長60ヵ月)
⑤請求事由により共済金(解約手当金)は変動する。
⑥共済金の種類によっては加入期間が6か月~12ヵ月未満の場合、共済金が受け取れないことがある。
⑦加入期間が240ヵ月未満の場合は掛金を下回ることがある。
毎月の掛金
掛金月額は、1,000円から7万円までの範囲内(500円単位)で、増額または減額できます。
ただし、金額変更するためには、書類を窓口に提出する手間が生じますので、資金繰りと節税額の
両面から妥当な掛金額を最初から決めておく方がベターであると考えます。
加入方法
加入申込み手続は、最寄りの商工会、商工会議所又は金融機関等で行っています。
窓口で加入したい旨をお伝えいただくと、案内していただけます。
節税額のイメージ
節税額のイメージ図が中小機構のHPにございましたので引用します。
例えば、課税所得が1,000万円以上ある方が毎月7万円(=年間84万円)の掛金を支払う場合には、
所得税と住民税の合計で367,000円の節税が図れます。
これは1年間での節税額ですので、課税所得1,000万円、掛金支払額84万円が毎年継続したとすると
367,000円×20年=7,340,000円もの大金を節税できることになります。
さらに詳細にシミュレーションしたい方は下記サイトより行うことができます。
加入に適している方
①20年間掛金の支払いを続けられる方
→20年未満かつ自己都合で解約すると元本割れする可能性がありますので20年間継続できる方が適しています。
子供の教育費など近い将来お金が必要となる方には適さないかもしれません。
②必要経費があまり生じない事業を営んでいる個人事業者(不動産賃貸業、コンサルティング業など)
→掛金は課税所得から控除されるため実質必要経費と同じようなものです。
不動産賃貸業やコンサルティング業を個人事業で行う方は売上から差し引く必要経費がほとんどなく、
所得に対してダイレクトに所得税・住民税が課されることが多いと思います。
その所得と税金の間に、小規模企業共済を挟むことで、所得の圧縮が図れます。
しかも、必要経費としつつ、将来自分に戻ってくるお金を積み立てる性質のものですので老後の資金の
確保も図れ一石二鳥となります。
③元本割れを避けたい方(20年以上の加入を前提)
→余剰資金を銀行口座に預けている方には適しています。
運用利回りはそこまで大きくはないですが預金より高利回りですし、節税効果により確実に
得をします。
運用利回りについて
共済金の種類
個人・法人の区別、共済金申請事由により、共済金の種類は4パターンに分かれます。
【個人事業主】
①共済金A・・・個人事業を廃業、契約者死亡
②共済金B・・・老齢給付(65歳以上で180か月以上掛金を払い込んだ方)
③準共済金・・・法人成りにより解約
④解約手当金・・任意解約等
【法人】
①共済金A・・・法人解散
②共済金B・・・病気、怪我又は65歳以上で役員を退任した場合
老齢給付(65歳以上で180か月以上掛金を払い込んだ方)
契約者死亡
③準共済金・・・法人の解散、病気、怪我以外の理由により、または65歳未満で役員を退任した場合
④解約手当金・・任意解約等
毎月1万円で加入した場合の共済金額
こちらも中小機構HPからの引用となります。
普段銀行にお金を預けている方からすると満足いく返戻額であると思います。
の節税額もある種の運用成績に加えられるべきものかと思いますので、
運用利回りは、(共済金+節税額)-掛金額で計算ができます。
iDeCoとの併用について
小規模企業共済制度はiDeCoとの併用が可能です。
iDeCoの場合、個人事業主は毎月6.8万円を、企業年金制度がない会社に勤める方は毎月2.3万円を拠出することが可能です。
iDeCoをされていない方の中には、iDeCoはリスクの高い投資商品に拠出をしないといけないイメージを持たれている方がおられるかもしれませんが、投資先として定期預金を選択することが可能です。
これにより、さらに運用期間中の節税が図れ、老後も安泰となります。
こういった非課税制度の拡充は、老後の資金は自分たちで用意すべきとの国からのメッセージであると
私は感じています。
やるかやらないかで将来の自分の生活を大きく左右しかねないのが、これらの制度であると思います。
前向きな気持ちで検討いただくと良いかと思います。
まとめ
本日は小規模企業共済制度について記事にまとめました。
金融機関や、顧問税理士、商工会等が小規模企業共済の窓口となってくれますので、
興味のある方は一度確認をいただくと良いかと思います。
私の方でも、顧問契約の有無に関わらず、加入のサポートをすることは可能ですので、お気軽にご相談下さい。