【節税額最低9.75万円】青色申告者になることで得られる4つのメリット

所得税

豊橋の税理士 提中です。

先日、個人が開業した場合に提出すべき書類について解説しました。
その中でも強く提出を奨励するのが「所得税の青色申告承認申請書」となります。

本日は青色申告者となることで得られる4つのメリットについて解説していきます。

https://dainaka-tax.com/2023/08/18/submit/

メリット

①青色申告特別控除

事業所得や不動産所得は収入金額から必要経費を控除した金額が所得となります。
青色申告者の場合は、その所得から最低10万円、最高65万円を控除することができます。

55万円の控除を受ける場合には、複式簿記により記帳を行い、確定申告書と一緒に貸借対照表を
提出するが必要となります。

手書での帳簿作成、エクセル集計は困難であるため会計ソフトによる記帳をお勧めします。
簿記に慣れていない方は、預金口座やクレジットカード情報を紐づけることで自動的に仕訳を
起票してくれるクラウド会計が特にお勧めです。

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タイミングにあります。ご検討されると良いと思います。
日々の記帳入力はもちろん、freeeを使えば最終的に確定申告書も簡単に作成できます。

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また、65万円控除を受ける場合には、優良な電子帳簿保存を行っているか、e-Taxでの電子申告が
必要になります。優良な電子帳簿保存要件は大変複雑であるため、e-Taxでの電子申告要件を充足
させて適用を受ける対応
をお勧めします。
マイナンバーカードがあれば、スマホ一つで電子申告が行えますので事前に作成だけしておきましょう。

控除額要件
10万円(1)青色申告者に該当すること(=青色申告承認申請書を提出していること)
(2)所得にかかる取引を簡易簿記により記帳していること
(3)損益計算書を確定申告書に添付し この控除の適用を受ける金額を記載して
その年の確定申告期限までに提出すること(貸借対照表は不要)
55万円青色申告者に該当し、かつ下記(1)~(3)の要件を充足
(1)不動産所得または事業所得を生ずべき事業を営んでいること
(2)所得にかかる取引を複式簿記により記帳していること
(3)複式簿記により作成した貸借対照表および損益計算書を確定申告書に添付し、
  この控除の適用を受ける金額を記載してその年の確定申告期限までに提出すること
65万円55万円控除の要件を充足し、かつ(1)もしくは(2)の要件を充足
(1)仕訳帳および総勘定元帳について優良な電子帳簿保存を行っていること
(2)その年分の所得税の確定申告書、貸借対照表および損益計算書等の提出を、提出期限
までにe-Taxで行うこと

②青色事業専従者給与

生計を一にする配偶者、親族に給与を支払う場合、原則その給与は必要経費になりません。
所得税は超過累進税率であるため所得が増加すればそれに比例して税率が高くなる税構造です。
そのため、配偶者間での給与支払いを自由に認めてしまうと所得調整が行われる結果となります。
これを防ぐ目的がその背景にあります。

しかし、青色申告者の場合には、自身の事業に従事する配偶者や親族、支払う給与の額等の必要事項を
届出書に記載し税務署に提出することで身内に支払う給与を必要経費に算入することができます。
支払う額が相当な範囲内であること、専ら事業に従事している等の要件がありますのでその点に注意が必要です。

また、事業専従者として給与の支払いをすると、配偶者については配偶者控除、配偶者特別控除が、
親族については扶養控除を受けられなくなる点も併せて留意下さい。

③純損失の繰越控除

不動産所得、事業所得で生じたその年度の損失を翌事業年以降3年間に渡り繰り越すことができます。
計算ロジックは下記の具体例で確認下さい。

(具体例)
令和5年・・・300万円の赤字
令和6年・・・100万円の黒字(令和5年の300万円の赤字残のうちの100万円を使用)→所得0円
令和7年・・・50万円の黒字(令和5年の200万円の赤字残のうちの50万円を使用)→所得0円
令和8年・・・200万円の黒字(令和5年の150万円の赤字残のうちの150万円を使用)→所得50万円

なお、前年も青色申告をしている場合は、純損失の繰越しに代えて、その損失額を生じた年の前年に繰り戻して、前年分の所得税の還付を受けることもできます。今回は詳細は省略します。

④少額減価償却資産の特例

原則10万円以上の資産を購入した場合は、減価償却計算により各事業年度への経費按分が必要です。
青色申告者の場合は、30万円未満の減価償却資産については全額その使用年度の必要経費に算入することが可能になります。1年間の上限は300万円までとなります。

まとめ

本日は青色申告者になることで享受できるメリットについて解説しました。
所得税の最低税率は5%、住民税の税率は一律10%。結果、最低15%が所得に対して課税されます。

65万円控除の適用を受けることができると、65万円×15%=9.75万円が節税できます。
会計ソフトの導入費用はかかりますが、10万円弱の節税が図れれば十分ペイできるものと思います。

青色申告者になることを前向きにご検討下さい。