開業後に個人事業者が提出すべき書類、提出しておくと良い書類

所得税

豊橋の税理士 提中です。

16日、17日の二日間、青色申告会主催の記帳指導会に講師として参加してきました。
参加者は今年から青色申告を本格的に行う個人事業者です。
皆さん、熱心に取り込んでおられこちらの指導にも熱が入りました。
税理士としてしっかりサポートを行い、無事青色申告ができるように職務を全うしたいと思います。

本日は、個人が新規で事業を始めた際に税務署に提出すべき書類について解説をしたいと思います。
提出時期に期限のあるものが多く、提出漏れを起こすとその分不利益を被ることになります。
本記事をお読みいただき、提出漏れがないようにしていただければと思います。

提出が必要となる書類

①個人事業の開業届

[手続名]個人事業の開業届出・廃業届出等手続|国税庁
概要

新たに事業所得等を生ずべき事業を開始した個人が提出する書類となります。
提出の意味合いとしては税務署に事業を開始した旨を知らせるためのものとなります。

従業員を雇用し給与の支払いをする場合には、給与等の支払状況欄にも記載をします。

提出期限

事業を開始した日から1ヶ月以内に提出します。
提出遅れによるペナルティーはありませんが、忘れないうちに提出しておきましょう。

条件次第で提出が必要となる書類

1、適格請求書発行事業者の登録申請書

[手続名]適格請求書発行事業者の登録申請手続(国内事業者用)|国税庁
概要

今年の10月1日からインボイス制度が開始されます。
インボイス発行事業者となるためには当該申請書の提出が事前に必要です。

【対象者】
個人事業主や法人向けに事業を行う方は、取引先にインボイスを交付することが求められる可能性があることから、申請書を提出するかどうかの検討が必要です。

申請を上げると強制的に課税事業者に該当し消費税の納税義務者となります。
税負担が増えることになるため、申請するかどうかは取引先との関係性を考慮した上で
提出するかを判断いただくことが肝要です。

提出期限

10月1日からインボイス発行事業者になりたい場合は、9月30日までに提出することが必要です。
提出後、登録番号が交付されるまで相当の期間を要します。
早めの申請を心がけて下さい。

関連記事

提出しておくと良い書類

1、所得税の青色申告承認申請書

[手続名]所得税の青色申告承認申請手続|国税庁
概要

青色申告者になるために提出する申請書となります。
青色申告者になることで様々の税制上の優遇措置の適用を受けることができるようになります。

提出期限

原則】
青色申告者になろうとする年度の3月15日
(例:令和5年から青色申告者になろうとする場合は、令和5年3月15日が提出期限)

【例外】
1月16日以後に新たに事業を開始した場合は事業開始日から2ヶ月以内

青色申告者になることで適用を受けられる主な優遇措置

後日、別記事にまとめます。

2、青色事業専従者給与に関する届出書

[手続名]青色事業専従者給与に関する届出手続|国税庁
概要

生計を一にする配偶者や親族に支払う給与は通常必要経費に算入できません。
しかし、青色申告者が当該届出書を提出することで届出書に記載した金額の範囲内で、
配偶者・親族に支払う給与を必要経費に算入することができるようになります。
詳細は国税庁HPをご参照ください。

No.2075 青色事業専従者給与と事業専従者控除|国税庁
提出期限

【原則】
給与額を必要経費に算入しようとする年の3月15日

【例外】
1月16日以後に開業した人や新たに専従者がいることとなった人は、その開業の日や専従者がいることとなった日から2月以内

3、納期の特例

[手続名]源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請|国税庁
概要

従業員を雇い、給与の支払いをする場合、給与の額に応じて所得税を徴収し、毎月翌月10日までに
納付することが必要になります。
しかし、小規模事業者にとっては、毎月の手続きに相応の事務負担が発生することになるため、
それを救済する制度が用意されています。
それが源泉所得税の納期の特例制度です。

具体的には申請を上げることでで、1月から6月の間に徴収した所得税は7月に、7月から12月の間に徴収した所得税は1月にまとめて納付できるようになります。
これにより納付回数を年12回から2回に減らすことが可能になります。

対象者

給与の支給人員が常時10人未満である個人事業者

提出期限

提出期限なし。
毎月納付から特例納付に変更したいタイミングで提出いただきます。
提出した日の翌月に支払う給与等から適用されます。

4、所得税の減価償却資産の償却方法の変更承認申請書

[手続名]所得税の減価償却資産の償却方法の変更承認申請手続|国税庁
概要

減価償却の方法を定額法(法定償却方法)から定率法等に変更する場合に提出します。
どの償却方法であっても、簿価が1円になるまで減価償却は継続しますのでトータルでは有利不利は
ございません。
しかし、定率法にした方が減価償却費の計上が前倒しされるため、投資資金の回収の観点からは
有利となります。減価償却の仕組みは下記国税庁HPをご参照下さい。

No.2100 減価償却のあらまし|国税庁
提出期限

【原則】
変更しようとする年の3月15日

【例外】
新たに事業を始めた場合は翌年3月15日

まとめ

本日は個人事業を開始した際に提出が必要となる書類、提出することで有利となる書類について
ざっくりと解説しました。
青色申告書になることで得られた優遇措置は後日記事にまとめますのでしばしお待ち下さい。

ご不明点あれば、お問い合わせフォームよりお気軽にご相談下さい。