豊橋の税理士 提中(だいなか)です。
この土日は関西に帰省し、高校時代の簿記部の恩師を交えての忘年会に参加してきました。
参加人数は例年の1/3程度と少人数ながら、メンバー間で密に交流が図れる中身の濃い忘年会となりました。
参加者の半分以上は税理士・会計士として働くメンバーであるため、情報を得られると
同時に多くの刺激を得て豊橋に戻ってくることができました。
来年の集まりに参加したときには、顧問先も順調に増えしっかり活躍できていると胸を張って言える
立場で参加したいものです。
さて、本日は社宅を活用した節税策をテーマにブログを更新します。
旅費規程を作成して日当を経費計上する対応も有効です。
是非併せてご一読下さい。
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【想定読者】
・節税のために社宅を活用したいと考えている方
社宅を活用するとなぜ節税できるのか
このブログを見られているということは、社宅を活用すると節税につながるという話を一度は耳にされたことがあるのではないかと思います。
ではなぜ節税が図れるのでしょうか。
それは法人が負担した社宅家賃は、福利厚生を目的した支出に該当するため、合法的に法人の経費に計上できるためです。
ここで勘が鋭い方はこのような疑問が湧いてくるのではないでしょうか。
経費に計上するだけであれば、住宅手当を支払えば良いのではないかと・・・。
住宅手当を金銭で支払った場合の主なデメリットとしては次の2つがあります。
① 住宅手当は給与課税扱いとなり、所得税が課税されるため手取りが少なくなります。
② 社会保険料の算定に使われる「標準報酬月額」には住宅手当も含まれるため法人と個人が折半で負担する社会保険料が増加してしまいます。(法人・個人双方ともに損をすることになります。)
※詳細は下記協会けんぽのHPが参考になります。
この二つのデメリットを克服できるのが社宅節税となります。
社宅節税が税務上問題とならないために留意すべき事項とは
①賃貸者契約は法人が締結すること
社宅を借り上げる場合には、法人と家主との間で賃貸借契約を締結することがマストとなります。
役員・従業員(以下「使用人」)が家主と賃貸借契約を締結し、使用人が負担した家賃を法人が負担することとしている場合には、住宅手当を支払っていることと同義となるため給与課税がされることになります。
②社宅の選定は一定のルールに基づき法人が主体となって行うこと(社宅の選択権・決定権はあくまでも法人側にあること)
社宅は、福利厚生目的や業務上の必要に基づいて、法人が使用人に提供するものです。
そのため、使用人が自ら居住したい住居を探すことができ、どのような社宅を選択するかも本人の自由意思に任せている場合には、社宅の性質から逸脱したものとみなされてしまう可能性があります。
そのため、役職や勤続年数等を基準に入居基準を設け、社宅の選定は法人がメインに行っている事実関係が重要となります。
③礼金・敷金は法人が負担し敷金の戻り先は法人であること
法人が賃貸借契約を締結しているものの、礼金・敷金は使用人に負担させ、敷金の戻り先を使用人としている場合には、賃貸契約の締結・解除の権限は使用人にあることとみなされます。
そのため、入居時のコストは法人負担とし敷金の戻り先も法人になるようにされた方が問題になりません。
賃貸料相当額を計算し使用人から受領すること
使用人から全く家賃を受領しない場合には、賃貸料相当額が給与課税の対象となってしまいます。
そのため、次項で計算した賃貸料相当額を使用人から徴収することが重要です。
なお、役員ではなく従業員に貸し付ける社宅については賃貸料相当額の50%以上を徴収していれば、
賃貸料相当額以下の家賃徴収であっても課税がされない措置があります。
(例)賃貸料相当額が1万円の社宅を使用人に貸与した場合
・無償で貸与する場合→(1万円-0円)=1万円が給与課税
・3千円で貸与する場合→(1万円-3千円)=7千円が給与課税
・6千円で貸与する場合→6千円≧1万円×50%=5千円 ∴全額非課税
賃貸料相当額の計算方法
使用人が役員か従業員かに応じて次の算式により計算します。
自己所有社宅、役員向けの豪華社宅は今回は説明を割愛します。
役員社宅の賃貸料相当額(月)の計算方法
小規模住宅の場合(床面積が132㎡以下、木造家屋以外は99㎡以下)
次の(1)から(3)の合計額が賃貸料相当額となります。
(1)社宅の建物の固定資産税課税標準額×0.2%
(2)12円×社宅の総床面積(㎡)÷3.3(㎡)
(3)社宅の敷地の固定資産税課税標準額×0.22%
固定資産税の課税標準額は家主から取り寄せる必要がある点に留意が必要です。
小規模住宅以外の場合
①と②のうちいずれか多い額が賃貸料相当額となります。
① 家主に支払う賃貸料の額の1/2
② 次の(1)と(2)の合計額
(1)社宅の建物の固定資産税課税標準額×12%(木造家屋以外は10%)×1/12
(2)社宅の敷地の固定資産税課税標準額×6%×1/12
従業員社宅の賃貸料相当額の計算方法
次の(1)から(3)の合計額が賃貸料相当額となります。
(1)社宅の建物の固定資産税課税標準額×0.2%
(2)12円×社宅の総床面積(㎡)÷3.3(㎡)
(3)社宅の敷地の固定資産税課税標準額×0.22%
固定資産税の課税標準額は家主から取り寄せる必要がある点に留意が必要です。
まとめ
本日は社宅を活用した節税策について解説致しました。
従業員がいない役員一人会社であり、かつ現在賃貸住宅にお住みである場合には、社宅規程を整備したうえで、賃貸借契約を個人契約から法人契約に切り替えれば社宅節税の実行はすぐに行えます。
ご検討されてみてはいかがでしょうか。