家具・家電付き住宅を社宅にする場合の税務上の注意点とは。

法人

豊橋の税理士 提中(だいなか)です。

【社宅節税】役員・従業員向けに社宅を借り上げ、節税を図る方法について解説という記事を
以前投稿しました。

法人契約の社宅をそのまま使用人に貸す場合には、家屋と土地の固定資産税の課税標準額を基に賃貸料相当額を計算し、適正額を使用人に負担させれば給与課税はされません。
(役員は賃貸料相当額、役員以外の使用人は賃貸料相当額の50%以上の負担が必要です!)

ところで、最近は入居後すぐに生活を始められるように家具・家電付きの住宅が増えてきております。
例えばレオパレスなども、家具・家電付きを選択することで初期費用が節約できること、またすぐに生活を始められることを全面に出してPRしています。

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家具・家電が備え付けられた住宅を社宅として活用する場合も、上記の対応を取れば税務上問題とはならないのか。それとも何か注意しないといけないことはあるのか。

今回はそんな疑問に答えるべく記事にまとめていきたいと思います。

税理士だいなか
税理士だいなか

【本記事が役立つ読者様】

①家具・家電付きの社宅を利用して社宅節税をしたいと考えている方

②家具・家電付きの社宅を既に利用している方

【結論】住宅と、家具・家電は区分しそれぞれの適正額を計算する必要があります。

結論としては見出しタイトルに記載した内容そのままとなります。

住宅と家具・家電は分けて適正額を計算し、それぞれを使用人に負担させる必要があります。

もし、住宅と家具・家電を一体として、家屋・土地の固定資産税課税標準額を基に賃貸料相当額を計算して負担させる場合には、家具・家電の経済的利益の徴収がされていないこととなるため、家具・家電のリース料相当額が給与課税扱いとなります。

家具・家電については、住宅とは別個のものになりますので、家主から家具・家電をリースし、そのリース料が社宅の賃借料に含まれて請求がされているという整理になることがその理由です。

そのため、社宅本体は先日の記事でお伝えした計算式で賃貸料相当額を計算、
家具・家電はリース料相当額を合理的に見積もりその金額を使用人に負担させることにより
課税なく社宅の貸与が可能となります。

実務上、どのように対応すべきか

リース料相当額を合理的に見積もる必要がある点については前述の通りです。
次のどのようにリース料相当額を見積もれば良いのかについて私見をまとめたいと思います。

① 不動産の仲介会社に家具・家電のおおよそのリース料を確認する方法

一番簡単で確実な方法は、家具・家電付物件を仲介してくれる不動産会社に確認を取ることです。

また、物件によっては、家具・家電付きの部屋と、家具・家電がついていない部屋と両タイプを募集していることもあるかもしれません。その場合であれば、それぞれの部屋の条件がほぼほぼイコールであることを前提に、家賃の差額=家具・家電のリース料とみなす方法も一考ではないかと思います。

できれば賃貸借契約書上にも、家賃と家具・家電のリース料との内訳をを記載いただければ、万が一税務調査で問題になっても反論しやすいと思います。

② 主要な家電・家具を自前で用意するとした場合の購入額を見積もり、それを法定耐用年数で割って求める方法

室内に据えられた家具・家電のうち、値が張るものについては、ネット等で購入額を見積もり、
それを法定耐用年数で割って月々のリース料相当額とする方法も一定の合理性のある計算方法です。

家具、電気機器、 ガス機器、家庭用品等の法定耐用年数

そもそもリース料相当額の見積り方法に関しては、税法で特段の定めはございません。

そのため、税務調査で指摘された際に、一定の合理性をもって負担額を計算していることを示せれば問題になることはありません。

一番避けたいのは、算出の根拠を求められたときに、そもそもリース料相当額を従業員に負担させる必要があるとの認識が抜け落ちていることです。

これを避けた上で、一定の根拠を示すことができれば、調査官は納得するのではないかというのが個人的な見解です。

また、多少計算方法が不合理であっても、算定しようとした努力は認められ、次回調査までに計算方法を改善するようにとの指導レベルで調査は終わるようにも思います。

③ ①②の方法がどうしても難しい場合

家賃部分については、使用人(役員を除く)であれば賃貸料相当額の50%以上を受領していれば給与課税されません。

したがって、家賃部分は賃貸料相当額の50%を徴収、リース料については残りの50%を徴収し、賃貸料相当額100%を従業員に負担させているということにしておけば良いかと考えます。

さすがに、家具・家電の一ケ月の使用料が部屋代の50%ということはあり得ませんので、従業員からすると多少負担感は出てきてしまうものの、税務調査官は問題ありとの指摘はできないと思います。

まとめ

本日は家具・家電付きの住宅を社宅とする場合の注意点についてまとめました。

上記の通り、同じ社宅でも、家具・家電付きの社宅の場合には、部屋本体と、家具・家電とを区分し、
それぞれの使用人負担額を計算する必要があるという認識をしっかりと持っていただくことが何よりも
重要となります。

現在は募集を中止していますが、レオパレスは2005年まで法人会員向けのサービスを提供していました。そのため、家具・家電付きの住宅を社宅として活用している法人も多いものと推測され、柔軟に対応して下さる土壌があるのではないかと考えられます。

今回の記事が皆様に参考になると嬉しいです。

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