豊橋の税理士 提中です。
2月~3月は自分のお客様の確定申告対応をしつつ、東海税理士会豊橋支部が主催する
確定申告無料相談会の相談員として、豊川・蒲郡・田原にて納税者様の確定申告のサポートを
しておりました。
今回は相談員として申告書作成のサポートを行う中で実際に遭遇した申告誤りや優遇制度の適用漏れ
についてブログにまとめます。
不動産所得・事業所得を白色申告している
一番多く遭遇した優遇制度の適用漏れは、不動産所得・事業所得を白色申告している事例です。
過去にブログでも取り上げましたが、青色申告者には様々な税優遇措置が設けられております。
【節税額最低9.75万円】青色申告者になることで得られる4つのメリット
青色申告者になる方法は至って簡単で、「所得税の青色申告承認申請書」を青色申告者になる年度の
3月15日までに提出するだけです。これで青色申告者になることができます。
例えば令和6年の申告から青色申告者になりたい場合には、令和6年3月15日までに申請書を出すことになります。
そんなメリットの大きい青色申告の制度ですが、確定申告相談会に来られた納税者の大半が白色申告
されておりました。
帳簿をつけないといけなくなるため、手間とコスト(会計ソフト、税理士)がかかるという誤解が、
青色申告の適用を妨げているように感じました。
確かに65万円の青色申告特別控除を適用するためには、会計ソフトを導入し帳簿付けを自身で行うか、
税理士に報酬を支払い記帳代行してもらうことが必要になってきます。
しかし、10万円の青色申告特別控除を適用する場合には、白色申告で行ってきた対応をそのまま取るだけで適用可能です。
白色申告者が使用する収支内訳書と、青色申告決算書の様式もそこまで大きく異なるものでもないため、実質、承認申請の提出をしているかしていないかのみで10万円の特別控除の適用可否が決まってくるといっても決して言い過ぎではありません。
私が対応した納税者の方々へは、青色申告承認申請を提出されることをお勧めさせていただきました。
生計一親族の収入を合算している
奥さんの年金をご自身の年金に含めて雑所得として申告書を作成されている方がおられました。
生計を一にしている配偶者や親族の医療費や社会保険料を支払った場合には、自身の所得控除に
加えることができますが、収入は合算する必要はなく個人課税となります。
その旨を指摘させていただき、今回からご自身の年金のみを申告いただく対応に変更してもらいました。
人的控除の適用漏れ
生命保険料控除、医療費控除、社会保険料控除等、実際の支払を行うことで適用が受けられる
所得控除については適用漏れはほとんどございませんでした。
しかしながら、納税者の個人的な事情を控除して適用が受けられる人的控除については適用を
失念しているケースがございました。
支出を伴わずに所得控除を受けられる性質があるため、認識漏れが起きやすいのだと思われます。
人的控除は本人や配偶者、親族の置かれた状況に変化が生じない限りずっと受けられる性質も兼ね備えています。
適用漏れが起こると長きにわたり納めなくてもよい税金を納めてしまうことにつながるため、注意が
必要です。
実際に適用漏れがあった人的控除は次の二つでした。
①障害者控除
納税者本人、同一生計配偶者(※)または扶養親族が所得税法上の障害者に当てはまる場合には、区分に応じて下記金額の所得控除を受けることができます。
区分 | 控除額 |
障害者 | 27万円 |
特別障害者 | 40万円 |
同居特別障害者 | 75万円 |
(※)同一生計配偶者の要件
(1) 民法の規定による配偶者であること(内縁関係の人は該当しません。)。
(2) 納税者と生計を一にしていること。
(3) 年間の合計所得金額が48万円以下(令和元年分以前は38万円以下)であること(※2)。
②寡婦控除
次のいずれかに該当する女性は27万円の寡婦控除が適用できます。
(1)合計所得金額が500万円以下かつ夫と離婚した後結婚せずに扶養親族がいる
(2)合計所得金額が500万円以下かつ夫と死別した後結婚していない
私が相談会場で遭遇したケースでは、夫が先に他界しているが、年金以外に不動産収入がある方
の事例がございました。
まとめ
国税庁が用意した確定申告作成コーナーを利用すると、簡単に申告書・決算書を作成することができる
便利な時代となりました。
しかし、申告書を作れることと、不利なく正確な内容で申告書が作れていることはまた別の問題です。
プロの目から見ると不備やこうすると節税ができるのにといった事例に遭遇することはままあります。
自分でこれまで対応してきたいけど内容に問題がないか心配。
そんな不安をお持ちの方は、無料相談会に足を運んでいただくと思わぬ収穫があるかもしれません。