【無料サンプル付き】出張旅費規程を作成し日当を経費に計上しよう

法人

豊橋の税理士 提中です。

経営者の皆様は、日々有効な節税手法を探されていることと思いますが、
一つの有効な手法として出張時に日当を支払うといったものがあります。
今回はそちらを記事にまとめます。

社宅を活用した節税策も有効です。

社宅節税】役員・従業員向けに社宅を借り上げ、節税を図る方法について解説

日当の支払いが節税につながる理由

そもそも日当とは何か

日当とは、従業員が出張した際に支給する手当のことです。
宿泊費、交通費など、実際に従業員が負担した出張時の費用は、出張終了後に実費精算されます。
日当は、予め会社で定めた出張旅費規程に基づき、実費とは別に従業員に支払いがされる性質のものとなります。

【節税効果】日当を支払う法人側の観点

法人税

日当は従業員に支払う手当の一種であるため、法人税計算上当然に必要経費として認められます。
とりわけ役員に支払う日当はかなり有効であると個人的には考えています。

役員報酬は、利益調整ができないように法人税法において様々な制約が用意されています。
(毎月の報酬額が同額であること、事前に支払額を届け出て、届出通りに支払いをする等)

しかし、日当は出張旅費の一部の性質を有するものであることため、上記制約から除外されます。
したがって、①出張の実績があること、②旅費規程が整備されていること、③日当の額が適切であることを満たせば、役員に対する支払いであっても必要経費に含まれることになるのです。

消費税

日当についてはその支払額の10/110を仕入税額控除として、預かった消費税額から控除が可能です。
下記国税庁のタックスアンサーを確認下さい。
必要経費に算入されることで法人税の節税を図れることに加え、消費税の節税も図れることが
日当の大きなメリットです。

国内の出張または転勤のために、役員または使用人に対して支給した出張旅費、宿泊費、日当については、支給した金額のうちその旅行について通常必要であると認められる部分の金額は、課税仕入れになります。

国税庁HP:タックスアンサーNo.6459 出張旅費、宿泊費、日当、通勤手当などの取扱い
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6459.htm

【節税効果】日当を受け取る従業員側の観点

役員や使用人に支給する手当は、原則として給与所得となります。
例えば、残業手当、休日出勤手当、職務手当、地域手当、家族手当、住宅手当を支払った場合、これらの手当は給与所得となり、課税の対象となります。(給与所得として所得税が課される)
つまり通常の給料と同様に、所得税が差し引かれて残額が入金されることになります。
しかし、次のような手当は非課税とされており、その中に日当が含まれています。

(1) 通勤手当のうち、一定金額以下のもの
(2) 転勤や出張などのための旅費のうち、通常必要と認められるもの
(3) 宿直や日直の手当のうち、一定金額以下のもの 

具体的には、次のような旅行を行い、その旅行に通常必要な支出に充てるために金品を支給した場合が非課税となります。

① 勤務する場所を離れてその職務を遂行するための旅行(出張)
② 転任に伴う転居のための旅行
③ 就職若しくは退職をした者等がこれらに伴い転居のための旅行をした場合

非課税とされる理由は、通常必要と認められる範囲内で支払われるものは、使用者の業務上の必要に基づく支出の実質弁償に過ぎないものとされるためです。

非課税であるため、所得税負担なく満額を受け取ることができる点が従業員にとって大きなメリットとなります。

個人事業者

残念ながら、個人事業者本人の出張に対して日当を支払うことは認められません。
ただし、従業員に支払うものは法人同様、必要経費への算入が認められます。

日当を経費計上するために必要となる対応

①出張旅費規程を整備する。

まずは出張旅費規程を整備し、それに基づいて日当の支払いがされることが重要です。
出張旅費規程のサンプル(word形式)を掲載しますので、貴社の実態に応じて加工して
ご利用下さい。

②通常必要と認められる範囲内での支払いであること

「その旅行の目的、目的地、行路若しくは期間の長短、宿泊の要否、旅行者の職務内容及び地位等からみて、その旅行に通常必要とされる費用の支出に充てられると認められる範囲内の金品」に限り、
所得税は非課税とされています。
税務調査で不相当な額であると判断されてしまうと、過大な日当の支払いということになり、所得税が
徴収されます。

産労総合研究所 「2019年度 国内・海外出張旅費に関する調査」が公表されております。
こちらは企業にアンケートを取り、日当の平均支給額を役職ごとに集計したものになります。
表にまとめると、次のような結果となっています。

これを目安に日当の支給額を設定されると良いのではないかと思います。

役職日当(平均支給額)
社長4,458円
専務3,781円
常務3,716円
取締役3,613円
部長クラス2,666円
課長クラス2,479円
係長クラス2,224円
一般社員2,094円
産労総合研究所 「2019年度 国内・海外出張旅費に関する調査」より作成

まとめ

本日は日当について記事にまとめました。
出張旅費規程を設け、適正な日当を支払うことで、法人にとっても従業員にとっても
ハッピーな制度と言えます。

今回ご紹介した出張旅費規程のように、知識として制度を知り、実際に実行に移すことで
合法的に節税を実現することが可能となります。

納税は国民の義務ですが、情報を知らないことで活用できる節税策を見落とすことは
不利益を招くことにつながります。

節税に関する情報を得ること、そして後々問題にならない形で適正に制度を活用すること。
この2つを心がけていきましょう。

税理士と顧問契約を結んでおけば、税務調査時に出張旅費規程が問題視された際に、
その正当性をあなたに代わって調査官に主張してくれます。

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