インボイス制度施行前の買手側の対応

インボイス

豊橋の税理士 提中です。
前回に引き続きインボイス関係の記事になります。
今回はインボイス制度施行に向けた買手側の準備についてです。

簡易課税制度でいくか本則課税方式で行くかの検討

基準期間における課税売上高が5,000万円以下の事業者については簡易課税制度か本則課税方式の
いずれかを選択できます。

・本則課税方式を採用する場合
①10月1日以降は、帳簿とインボイスの保存が必要となります。
②免税事業者からの仕入についても、令和11年9月までは消費税相当額の一部を控除できる経過措置が
設けられるため仕入税額控除の判定が複雑になります。

・簡易課税制度を適用する場合
①売上に係る消費税額に一定のみなし仕入率を乗じて仕入税額控除を計算できるためインボイスの保存は不要。事務負担が軽減されます。

上記を踏まえ、納付税額の有利・不利による判断に加え、消費税計算の事務負担も考慮して、どちらの計算制度を選択するかを再考すべきと考えます。

本則課税方式で行く場合の対応

簡易課税制度を選択する場合は前述の通り特段の対応は不要です。

本則課税の場合は10月1日以降インボイスの保管が必要となるため、継続取引先とスポット取引先とに
分けて対応を進めていくことが必要です。

・継続取引先への対応
 適格請求書発行事業者登録の有無、登録番号の確認を実施。登録していない先は登録の意向を確認。
 先方から聞いた登録番号は国税庁のインボイス制度適格請求書発行事業者公表サイトで確認する。
 登録意思がない先には下請法や独占禁止法に抵触しないように細心の注意を払い価格交渉を行う。

・スポット取引先への対応
 10月以降に行う取引の見積もりを取る場合は、必ず登録事業者であるかどうかの確認を行う。
 見積もりの提示を受けた後、免税事業者であることが判明した場合、価格交渉が難しくなる。