豊橋の税理士 提中(だいなか)です。
読者の皆様は、従業員と自分自身の老後の備えとして退職金の縦鼻はされて
おりますでしょうか。
中小企業において、有効活用できる退職金の準備手段としては、中退共(中小企業退職金共済制度)が
最もメジャーな手法ではないでしょうか。
しかし、知名度は低いものの、中退共よりも多くのメリットがある退職金制度が
世の中には存在しており、その一つがどのような制度であるかに、最近私は気づきました。
その一つは税退共(税理士事務所職員退職年金共済制度)です。
本日は、マイナーながら、税理士として自信をもって勧められる税退共について、
詳しくブログで解説していきたいいと思います。
※税退共に加入するためには、税理士からの入会推薦書が必要となります。
弊所では顧問契約の有無に関わらず、無償で入会推薦書を作成致します。
ご興味ある方はお気軽に弊所までご相談下さい。
税退共の制度概要
税退共は、税理士事務所職員、関与先事業所従業員のための特定退職金制度として
昭和58年10月に発足しました。
名称からして、税理士事務所の職員の退職金制度としての側面が強いように見えますが、
税理士事務所以外の事業者も、税理士の推薦により、賛助会員として加入可能です。
賛助会員に適用される制度内容に違いはなく、同一の退職金、各種祝金、弔慰金の支給が
されます。
令和5年4月時点の加入事業者数は5,384件、被共済者数は21,573人となっております。
加入事業者数と被共済者数の推移をグラフで表したものが次のものです。
両方とも右肩上がりで推移していることが見て取れます。
中退共と税退共の比較
中退共と税退共の相違点を以下にまとめます。
加入対象者
中退共
従業員は原則として全員加入させる必要があります。
ただし、次のような人は加入させなくてもよいことになっています。
・ 期間を定めて雇用される従業員
・ 季節的業務の雇用される従業員
・ 試用期間中の従業員
・ 短時間労働者
・ 休職期間中の者およびこれに準ずる従業員
・ 定年などで相当の期間内に雇用関係の終了することが明らかな従業員
法人の役員(使用人兼務役員を除く)と個人事業主本人の加入は不可ですが、従業員の実態があれば、
配偶者の加入は可能です。(ただし、加入時・加入中・退職時に、従業員性の確認が求められます)
税退共
ほぼほぼ同じですが、個人事業主の場合は、従業員の実態があったとしても、生計を一にする配偶者は
加入することができません。
掛金額
中退共
掛金額としては下記16種類があり、事業主は従業員ごとに掛金額を任意に選択します。
掛金を減額するためには、従業員の同意が必要となります。
節税狙いで無理な掛金を選択することは差し控えた方が賢明です。
税退共
掛金は、従業員一人につき3,000円から(1,000円×3口)で、最高30,000円(1,000円×30口)まで拠出可能です。
中退共は最低掛金が5,000円からであり、拠出できる単位も予め決められていることと比べると、
税退共は少額から始めることができ、かつ掛金額も柔軟に決めることができます。
中退共と税退共は重複加入OKです。
中退共と税退共は重複加入可能です。
そのため ①マイクロ法人を設立 ②配偶者を従業員として雇用 ③税退共と中退共の両方に加入
これにyり36万円×2=72万円を給与とは別に経費計上することが可能となります。
配偶者が退職する際には、給付金は退職所得として課税がされますが、退職所得控除が適用できますので、設計次第では、所得税はかかりません。
つまり、法人で掛金を経費として計上しつつ、非課税で退職金を受け取ることができるのです。
中退共にはない税退共の2つの大きなメリット
中退共よりも運用利回りが高く、将来支給される退職金が多い
税退共は、掛金を2%の複利で運用します。
中退共は、掛金を予定利回り1%で運用します。
40年間、掛金上限3万円/月を拠出したケースでシミュレーションしたものが次の表です。
「ぜいたいきょう」の退職一時金
中退共の退職一時金
見ていただくと分かる通り、税退共に加入して40年後に退職一時金を受け取る場合には、21,320千円の退職金が支払われます。一方で、中退共に加入している場合には、17,753千円の退職一時金を受け取れます。
1%の複利の差が大きな額の違いを生み出すことがご理解いただけるのではないでしょうか。
税退共は、祝金・弔慰金が別途支給されます。(中退共はなし)
税退共には、福祉事業制度の一環として、結婚や出産等をされた場合に、独自に共済契約者および被共済者に祝金・弔慰金が支払われる制度が退職金制度とは別に存在しています。
結婚祝い金
出産祝い金
死亡弔慰金
税退職に加入するために必要となる手続き
以下の書類に必要事項を記入し、「一般社団法人ぜいたいきょう」宛てに提出することで手続きは完了します。
①入会申込書
②入会推薦書(賛助会員加入の場合)
③加入申込書
④預金口座振替申込書
入会推薦書は、税理士に記入してもらう必要があります。
顧問税理士に記入をいただくか、顧問税理士がいなければ、最寄りの税理士を下記リンクから
検索いただき、コンタクトを取っていただくと良いかと思います。
まとめ
本日は税退共についてブログに取り上げました。
ご興味ある方は問い合わせフォームよりお問い合わせ下さい。
不必要な税金は節税しつつ、合法的な節税策を有効活用して、将来必要となるお金の蓄積に努めましょう。