愛知県豊橋市で税理士をしている提中(だいなか)です。
法人を設立するときには様々なコストがかかります。
その中で最も大きい比重を占めているものが登録免許税です。
法人を設立すると、次の登録免許税の納付が必要となります。
・株式会社を設立→資本金の額×0.7%(15万円に満たないときは15万円)
・合同会社を設立→資本金の額×0.7%(6万円に満たないときは6万円)
しかし、一定の手続きを経ることでこの納付額を半額にすることができます。
その方法について、私が住んでいる豊橋市を例に詳しく解説します。
※市町村により要件や制度内容に多少の違いはあるかもしれませんので、HP等でご確認下さい。
制度の概要
地方における創業を促進することを目的に、市区町村は「創業支援等事業計画」を策定しています。
市区町村がその計画において定めた「特定創業支援等事業」を創業者が受けることで、会社設立時に登録免許税が軽減されます。
登録免許税を軽減するための手続きについて
以下、登録免許税を軽減するための具体的な手続きについて解説します。
①お住まいの市町村が「創業支援等事業計画」を策定しているかどうか確認
お住まいの市町村が「創業支援等事業計画」を策定しているかどうかを確認するところから手続きが開始します。
なぜなら、「創業支援等事業計画」を策定している市町村から証明書を受領し提出することが要件の一つとされているためです。
登録の有無は下記URLから検索可能です。
例えば、愛知県で検索すると「豊橋市」が出てきます。
よって、豊橋市で創業するときは、手続きを経ることで登録免許税の減免を受けることができる
こととなります。
検索して市町村が出てこないときは、当該市町村は計画を策定していないということになりますので、残念ながら登録免許税の減免手続きは受けられません。
②自身が特定創業支援等事業を受けることができる対象者かどうか確認
特定創業支援等事業を受けることができる対象者は、新規創業の方、もしくは創業後5年未満の方となります。これまで事業を行ったことがない方が、初めて法人を設立する場合には問題なく対象者となります。
次のようなケースは対象外となりますので気を付けましょう。
・個人事業を5年以上行っていた方が法人成りにより法人を設立する場合
・2社目以降の創業となる方(すでに経営している会社等を継続しつつ、新たに会社等を立ち上げる方)
対象となるか不安に感じる方は、商工会議所に確認に行くことをお勧めします。
特定創業支援等事業を受ける
1か月以上かつ4回以上の継続的な支援により、経営、財務、人材育成、販路開拓の知識が全て身につく特定創業支援等事業による支援を受ける必要があります。
一番手っ取り早いのは、商工会議所が主催する創業塾に申し込むことかと思います。
ちなみに創業塾で学べることには次の6つがあるようです。(名古屋商工会議所HPより)
①お金の不安を解消できます!(資金調達の方法)
②売れる可能性を広げます!(顧客の作り方やビジネスモデル)
③創業までの流れが理解できます(開業の流れや手続き)
④低コストではじめる方法が学べます(無理なくはじめる方法)
⑤周囲を説得できるビジネスプランができます(事業計画のつくり方)
⑥時流にあったノウハウが学べます(SNSや最新のビジネス情報を学べる)
また、これに加え、創業を考えているor創業間もない同志ができる点も魅力の一つかと思います。
ただ、難点はこの創業塾の開催時期が限定されていることです。
創業予定の時期と創業塾の開催時期がずれていると創業塾で要件を満たすことができません。
そんな場合でも、とりあえず商工会議所に足を運びましょう。
窓口で1ヶ月以上4回以上の指導を受ければ要件を満たせます。
「特定創業支援等事業を受けたい」ことを窓口で伝えると、然るべき対応をしてくれるものと考えます。(商工会議所としても創業支援の実績は欲しいでしょうから)
特定創業支援等事業による支援を受けたことの証明書の発行を市役所に依頼
市役所に対して、特定創業支援等事業による支援を受けたことの証明書の発行を依頼します。
特定創業支援等事業を受けたことを証明する書類として、豊橋市では「特定創業支援等事業相談カルテ」を提出する必要があります。
こちらは、特定創業支援等事業者(商工会議所等)が主に記載してくれますので、1ヶ月以上4回の指導を受けた後で受領できるものとなります。
特定創業支援等事業相談カルテ
法務局で登記申請する際に「特定創業支援等事業による支援を受けたことの証明書」の原本を提出
法務局への登記申請時に「特定創業支援等事業による支援を受けたことの証明書」の原本を提出します。これにより納付する登録免許税が半額となります。
特定創業支援等事業を受けることで得られるその他のメリットについて
特定創業支援等事業を受けることで得られるメリットは、登録免許税の減免以外にもございます。
①小規模事業者持続化補助金(創業枠)の補助上限の拡充
小規模事業者が経営計画を策定して取組む販路開拓等を支援する「小規模事業者持続化補助金」
(補助率:3分の2)の<創業枠>の申請の際、補助限度額を200万円に増額(通常枠は50万円)することができます。
【詳細】
https://s23.jizokukahojokin.info/
②創業関連保証の特例
無担保・第三者保証人なしの創業関連保証枠を利用した融資について、事業開始前に申し込む場合、特例により前倒しで申込をすることができます。
・個人事業主の場合
通常:事業開始1か月前から申込可能
特例:事業開始6か月前から申込可能
・会社設立の場合
通常:事業開始2か月前から申込可能
特例:事業開始6か月前から申込可能
③日本政策金融公庫「新規開業資金」の貸付利率引き下げ
政策金融公庫の新規開業資金について、貸付利率の引き下げ対象として同資金を利用することができます。(別途審査を受ける必要があります)
担保・保証人の有無等により利率は変わってきますので、創業に合わせて政策金融公庫で借入を検討
されている方については事前に確認をされると良いかと思います。
まとめ
本日は登録免許税の減免する方法について解説しました。
無駄な税金の節約につながることに加え、創業支援を受けることで多くのノウハウを同時に得ることが
できます。しかも商工会議所を利用する場合には、原則無償で指導を受けることができます。
直接的なメリットに加え、間接的なメリットも数多く享受できる制度ですので、起業を検討されている
方は、ご活用いただけると良いと思います。
ご不明点ある方はお気軽にご連絡下さい。