電子取引データ保存義務化はデメリットだけじゃない。2つのメリットが実はあります。

お役立ち情報

全国のみなさん、こんにちは。

愛知県豊橋市で税理士業を営んでおります、税理士の提中(だいなか)です。

令和6年1月に電子帳簿保存法が改正され、早半年が経過しました。
みなさん実務対応はうまくいっておりますか。

お恥ずかしい話ですが、私は税理士でありながら、一人の納税者の立場で我が身を振り返りますと、
完璧に対応できている自信はないです。

また、多くの方が抱く国民感情と同じく、「裏金脱税〇〇の馬〇どもは、紙の領収書すらろくに保存しないくせに、なぜ我々だけややこしい制度に付き合わされなきゃならんのだ。」という想いが、特に最近は沸々と込み上げてきております。

しかし、改めて今回の改正に目を向けますと、運用次第では従来なかった事務負担軽減のメリットを
享受することができる可能性を秘めていることに気づけます。

本日のブログでは、電子帳簿保存法の改正により生まれたメリットについて解説していきます。

なお、電子帳簿保存法の改正は以下3つの項目があります。

一度にブログに書きますと文量が膨大となりますため、本日は①の「電子取引データの保存に関わるもの」に絞ってメリットの照会をしたいと思います。

①電子取引データの保存に関わるもの
②電子帳簿・電子書類の保存に関わるもの
③スキャナ保存に関わるもの

②③については、順次、今後ブログに掲載予定ですのでお楽しみに。

電子取引データ保存に関わる改正内容、デメリット、メリット

電子取引データ保存に関わる改正内容

改正前はすべての証憑を、印刷して紙ベースで保管することが可能でした。

そのため、改正前は請求書や領収書を紙で受領できず、電子データで受領した場合であっても、
それを印刷して保管することが認められておりました。

しかし、今回の改正により、今後は紙で印刷した証憑を保管する対応は認められず、電子データは
そのまま所定のルールに基づいてデータ保管することが義務化されました。

分かりやすい例でいえば、Amazonで買い物をし、郵送物に紙証憑がない場合などでしょうか。
改正前後では次のように対応が変わります。

【改正前】
Amazonのサイトから領収書を印刷して紙ベースの証憑として保管する。

【改正後】
Amazonのサイトから領収書のPDFデータをダウンロードし、PCのフォルダや電子取引データ保存用のソフトウェアに保管する。

改ざん防止規程や、調査時に電子データを日付、金額、取引先名で検索ができる必要がある等、

デメリット

① 電子データ保管に関するルールが複雑で難解である。

電子データをそのまま保管するだけであれば造作もないことだと思います。

そのまま電子データをPCフォルダ等に放り込めば良いだけだからです。

しかし、そうは問屋は卸してくれず、改ざん防止規程や、電子データを日付、金額、取引先名から検索できる形で保管をすることを国は求めています。

純粋に保存するだけで良いのではなく、何かと制約を多く設けられている点が改正によるデメリットであると考えます。

② ①の問題をシステムの力で解決しようとすると余分なコストが発生する。

二つ目のデメリットとしては、上記制約をシステムで解決しようとすると、余計なコストが
余分にかかるという点です。

無料で利用できるサービスも多少はありますが、会計ソフトとは別料金の支払が必要となるところが
大半ではないでしょうか。

無料で利用できるサービスを提供しているベンダーの一つに弥生会計があります。

弥生会計を利用すれば、電子帳簿保存法に対応した証憑保管サービスである、「スマート証憑管理」
が無料で利用できますので、検討されると良いかと思います。

弥生会計は初年度無料キャンペーンを平時実施していますが、弥生PAP会員である私経由で契約
いただければ、創業間もない方については、2年間無料で利用できる可能性があります。

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※依頼をいただいたからといって、強引な営業は決してしないことをお約束いたします。

メリット

① 請求書を電子データで作成することで請求書郵送の手間を省略できる。

電子データ保存化が義務化されるまでは、紙証憑の保管が当たり前の時代でした。

そのため、請求書を発行する立場においては、請求書を紙発行しない対応は手を抜いているように
映る面も存在していたかと思います。

しかし、電子帳簿保存法の改正を機に、紙で請求書を発行する対応をやめ、電子データで請求書を
送る対応や、購入者自身に請求書をダウンロードさせる対応が主流になってきていると感じています。

コロナでオフィスに出社しない働き方が定着したのと同じように、電子帳簿保存法の改正は、
紙で証憑を送るというこれまでの当たり前を変革したのではないでしょうか。

私の事務所でも請求書を紙で発行する対応はごくわずかのお客様に対してのみであり、
90%のお客様に対しては、請求書発行システムで請求書を作成し、それをPDF形式でメールする
対応で手続きを終えています。

紙請求書の発行の場合には、印刷し、印鑑を押し、切手を貼り、投函するといった手続きが
必要でしたが、この手続きを省略できているのは改正があったことによるものです。

請求書発行システムは色々ありますが、シンプルで安価なものとしてmisocaをお勧めします。

② 電子データ形式のため、会計ソフトと連携が容易である。

最近の会計ソフトは、証憑を取り込むことで仕訳を自動起票してくれるものが増えてきています。

紙で証憑を受領することが主流の時代においては、スキャナで紙データをPDFデータに変換し、取り込むといったひと手間が必要でしたが、データでのやり取りが主流となっている今の状況下では、スキャンすることなく、受領データをそのまま取り込むことができるようになりました。

スキャンするというひと手間が不要となったこと。これも一つの改正によるメリットと言えるのではないでしょうか。

まとめ

本日は、電子帳簿保存法の改正のうち、電子取引データの保管について記事にまとめました。

規程を設けたり、ファイル名を工夫したりなど、いろいろややこしい話はありますが、
とりあえず、紙がない証憑は、データで保管しているという姿勢を示せれば、税務調査時に
問題になることはないという気持ちでやっておけば良いのではないでしょうか。

調査官が講釈をたれてきたときは、政治家はちゃんと対応できているんですかと言ってやりましょう。
(あっ、言っちゃった。)