税理士業界にも値上げの波が到来―その背景と今後の展望について豊橋の税理士が解説

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こんんばんは。愛知県豊橋市で税理士をしている提中(だいなか)です。

近年、物価の上昇や人件費の高騰などを背景に、さまざまな業界で価格改定の動きが広がっています。この波は我々の税理士業界にも押し寄せています。

これまで比較的価格競争が激しく、料金を据え置いてきた傾向にある税理士業界ですが、ここへきて「値上げ」を検討・実施する事務所が増えているのです。

なぜ今、税理士業界で値上げが起きているのか?

1. 人件費と業務負担の増加

税理士法人や会計事務所では、人材確保がますます難しくなっています。税理士試験の受験者数が年々減少しており、慢性的な人手不足の状況です。優秀な人材を確保・維持するためには、待遇改善が不可欠であり、そのためのコストが料金に反映され始めています。

また、インボイス制度や電子帳簿保存法の改正など、制度変更が相次ぐ中で、顧問先への対応や相談業務が増加し、実質的な業務負担が大きくなっています。

2. デジタル化への対応投資

会計ソフトのクラウド化やRPA(業務自動化ツール)の導入、セキュリティ対策など、デジタル対応のための初期費用・維持費がかさんでいます。これまでアナログ中心だった業務をデジタルに移行するには多くの投資が必要であり、そのコストを吸収するには値上げが避けられません。

私が加入している弥生PAPの会費についても、当初年間6万円だったものが10万円に値上げしました。
申告ソフトの年間使用料が値上げすることも決まっており、一人で税理士をしていても例外とはなりません。

3. 適正価格への見直し

一部の税理士事務所では、長年料金を据え置いてきた結果、業務内容と報酬のバランスが崩れているケースも見られます。最近では、適正な報酬を得ることの重要性を再認識し、価格体系の見直しを進める動きも出てきています。

顧問先との関係にどう影響するか?

もちろん、値上げは顧問先にとっては敏感な問題です。

しかし、多くの税理士が「価格以上の価値提供」を意識し、サービスの質やレスポンス、アドバイスの的確さなど、付加価値の向上に力を入れています。

むしろ、値上げを通じて「誰のために、どのような価値を提供できるのか」を再定義し、選ばれる税理士になるためのきっかけと捉える動きもあります。

今後の展望:値上げは一過性か、それともスタンダードになるか

短期的には、税理士業界の価格改定は「調整段階」と言えますが、長期的には「適正報酬の確立」がスタンダードになる可能性があります。

業界全体が、持続可能なサービス提供体制を築くためにも、無理な価格競争から脱却し、顧問先との健全なパートナーシップを築くことが求められています。


まとめ

税理士業界における値上げの動きは、単なる料金の上昇にとどまらず、業界構造の変化やサービスの質向上への転換点とも言えます。

今後、税理士に求められるのは「価格に見合う価値の提供」であり、それが信頼と選ばれる理由につながっていくでしょう。

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